2009年 05月 09日
「さみしさの周波数」乙一(角川文庫)
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せつないお話が詰まった短編集。
「未来予報」・・「お前らのどちらかが死ななければいつか結婚する」と友達に予言された幼馴染の二人は…。
「手を握る泥棒の物語」・・金品を盗もうとして旅館の壁に穴を空けた男がそこに手を入れ掴んだものは…。
「フィルムの中の少女」・・写っているはずのない少女が8mmフィルムに。彼女は何を伝えたいのか…。
「失はれた物語」・・事故で右腕の触感覚だけがかろうじて残った夫…。
どのお話もせつないです。
でも3編は最後にちょっとだけ光が見えて温かさもあります。
ただ、最後の「失はれた物語」はなんともいえない悲しさが残りました。
新婚のときは仲が良かったけど、月日が経てば相手の優位に立とうと、議論が口論に変わる。
つき合っているうちは相手のいいところを見ることが多く、疵が見えてもそれを愛することができた。しかし結婚していつも接近した状態でいると、その疵がいつも目の前にあり、お互いに嫌気がさすらしかった。
そんな夫婦に突然訪れた出来事。
夫が事故で腕を触られる感覚以外の全てを失う。かすかに動かせるのは人差し指だけ。
妻が腕に字を書き、それに指で応える。
あとはいつも暗闇と無音の世界。自分はただの肉の塊とさえ思う。そう、思考は正常なのにだ。
それはもし自分だったら発狂しかねないなと。
そんな状態で彼が唯一意思表示できたことが・・・。
あれを思い出しました。
「潜水服は蝶の夢を見る」という映画。
こちら
あれは左目のみ動くのでしたね。
その彼は、瞬きだけで自伝を書き上げました。実話です。
あの話に比べると、こちらは希望が全くありませんでした。
でもこちらは視覚・嗅覚・味覚ほとんどないですものね。比べられないか。
ヒューマンドラマとは違い、ある意味ホラーかなとも思えた作品でした。
ただほんとにやるせないし悲しいです。
「未来予報」・・「お前らのどちらかが死ななければいつか結婚する」と友達に予言された幼馴染の二人は…。
「手を握る泥棒の物語」・・金品を盗もうとして旅館の壁に穴を空けた男がそこに手を入れ掴んだものは…。
「フィルムの中の少女」・・写っているはずのない少女が8mmフィルムに。彼女は何を伝えたいのか…。
「失はれた物語」・・事故で右腕の触感覚だけがかろうじて残った夫…。
どのお話もせつないです。
でも3編は最後にちょっとだけ光が見えて温かさもあります。
ただ、最後の「失はれた物語」はなんともいえない悲しさが残りました。
新婚のときは仲が良かったけど、月日が経てば相手の優位に立とうと、議論が口論に変わる。
つき合っているうちは相手のいいところを見ることが多く、疵が見えてもそれを愛することができた。しかし結婚していつも接近した状態でいると、その疵がいつも目の前にあり、お互いに嫌気がさすらしかった。
そんな夫婦に突然訪れた出来事。
夫が事故で腕を触られる感覚以外の全てを失う。かすかに動かせるのは人差し指だけ。
妻が腕に字を書き、それに指で応える。
あとはいつも暗闇と無音の世界。自分はただの肉の塊とさえ思う。そう、思考は正常なのにだ。
それはもし自分だったら発狂しかねないなと。
そんな状態で彼が唯一意思表示できたことが・・・。
あれを思い出しました。
「潜水服は蝶の夢を見る」という映画。
こちら
あれは左目のみ動くのでしたね。
その彼は、瞬きだけで自伝を書き上げました。実話です。
あの話に比べると、こちらは希望が全くありませんでした。
でもこちらは視覚・嗅覚・味覚ほとんどないですものね。比べられないか。
ヒューマンドラマとは違い、ある意味ホラーかなとも思えた作品でした。
ただほんとにやるせないし悲しいです。
by mam-san
| 2009-05-09 10:52
| (あ行の作家・他)