2009年 10月 18日
休暇(2007年日本)
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刑務官の平井(小林薫)は、シングルマザーの美香(大塚寧々)と結婚し、親子3人で旅行をしていた。
その直前、死刑囚・金田(西島秀俊 )の刑執行が執り行われた。
死刑囚の「支え役」を務めた刑務官には特別休暇が与えられるのだが、なかなか有給休暇をもらえない平井は、その役を志願し、貰った休暇で新婚旅行に来ていたのだ。
望んでやる仕事ではないが、二度目の結婚に控え目になる美香と幼い息子のため、できるだけ時間を作ろうとする。
しかし、旅先でも、いくら死刑囚とはいえ、人の死に関わってしまったという誰にもいえない苦しみを抱えるのだった・・・。
公開前に新聞での紹介で知り、見たいと思っていた映画です。
ミニシアターでの短期公開で見逃してしまいましたが・・・。
とても重いお話でした。
とはいっても、暗くて出口のないようなものではありません。
休暇を貰うために刑執行に立ち会うことを志願する平井。
本人以外には到底理解できない葛藤があったと思います。
この死刑囚の金田というのが、どんな罪で死刑になったのかは描かれてませんが、死刑判決が出るくらいだから非道なことをやってしまったのでしょう。
でもとても物静かで絵を描くのが好きで、刑務官にもいい印象を持たれています。
仕事上、だめなんでしょうが、平井にしてもある程度の情が移っているようにも見えます。
そんな金田の処刑の場に立ち会う。
いくら仕事とはいえ、いくら休暇がもらえるからとはいえ、誰だってパスしたいはずです。
そこを敢えて志願した平井。
40を過ぎるまで、さしてハメをはずすようなこともせず、真面目に生きてきた人だと思います。
美香とも周囲に薦められるままお見合いをして、お互い拒む理由もなく結婚へと進む。
お互い、「こんな自分と・・・」という気持ちがあったんでしょうかね。
新婚旅行に出てからも心の距離があるようですが、相手のことを大切に思っているというのはよく分かります。
でもそれは思いやりというより遠慮ですね。
刑執行に携わった後の苦しさから来る遠慮かな。
だって彼女に言えることではないですものね。支え役をして貰えた休暇なんて。
ちょうど『おくりびと』のときのような感じでしょうか。「死体を触った手で私を触らないで」みたいな。
でも徐々に本当の家族らしくなってきて、それは救われるような気がしました。
こういう仕事というのは、家族に気持ちを連鎖させたくないものだけど、この苦しい気持ちをやわらげてくれるのもまた家族という存在なんだなあと思いました。
と、そこで、犯人に告ぐ。
人を殺めるということは、自分自身もこの先苦しいはずだし、殺された人の家族・知人も苦しむ。それだけに留まらず、こういう仕事をしている人だって苦しめる。
だからやっぱりどう考えたって罪を犯すって許されないことだと思う。
なんてことを思いました・・・。
平井の誠実さや苦悩が伝わってくる小林薫さんの演技はさすがでしたし、金田を演じる西島さんも、独房ではほんと物静かな雰囲気で、自分の心を消しているふうにしか見えません。
それがあの最後のシーンでは・・・、怖くて怖くて、あの場面で字なんか書けません。
(WOWOW録画視聴)
ところで、いつもなぜにキリスト教なんだろう?
死刑囚が仏教徒ならどうするの?
by mam-san
| 2009-10-18 15:34
| 映画(か)