2005年 10月 31日
「きみの友だち」重松清(新潮社)
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ふつうに頭がよくて、ふつうに友だちもいた小学5年生の恵美ちゃんは、ある雨の日、交通事故に遭った。それから恵美ちゃんは変わった。松葉杖なしでは歩けなくなったし、事故のことを友だちのせいにしてみんなから嫌われて、とてもブスッとした女の子になってしまった。
クラスにはもう一人、みんなからはじかれている子がいた。由香ちゃんだ。彼女は小さい頃から病気で入院ばかりしていて、勉強は遅れてるからだめ、運動はできない。ぐずでのろまな子。
そんなふたりはある時からいつも一緒にいるようになった。でも相変わらず、ふたりはみんなから孤立している。でも、なんだか幸せそう・・・。
恵美ちゃんには年の離れた弟ブンがいる。勉強もスポーツも抜群だ。ところが小学校の高学年になったとき、ライバルが出現した。モトだ。初めて味わう負け。悔しくて、自分自身も嫌なやつになっていきそうだった。しかし、ブンとモトはあるきっかけで親友になった…。
恵美ちゃんとブンの友だちが主人公となって物語が繋がってゆく。
友だちって何? 本当の思いやりって?
誰もが持っている見栄っ張りな心や、自分を偽る心。それを「あなたはあなたのままでいいんだよ」って気づかせてくれるような物語。
「これはいったい誰が書いてるの?」
と思わせる語り口調だ。
例えば、『ブンちゃん、次はきみの話だ』とか、『きみは分かっていた』というふうに。
そのせいかとても客観的に彼らを見ることができる。また、そういうところ自分にもあるよな~と自分を見つめることも出来る。
この『きみ』と呼んでいる人は誰なのか最後の章で分かるのだが、そこに至るまでに恵美ちゃんの人生やブンの人生にいろいろあって、「ああ、こうやって繋がっていたんだ」とぴったり収まる。
ここに登場する子どもたちの些細な心の成長の数々、まるで原石を磨くように輝きだす。みんなこんなふうに輝いていけたら、いじめや探りあいのない社会になっていけるのになあと思う。
かっこいいことしなくっても、ほんの少しの発想の転換で楽になれる。そんなエピソードがいっぱい詰まっている。
特に、最後の3章あたりから涙が止まらなくなる。
読みながらこんなに泣いたのは久しぶりだ。
クラスにはもう一人、みんなからはじかれている子がいた。由香ちゃんだ。彼女は小さい頃から病気で入院ばかりしていて、勉強は遅れてるからだめ、運動はできない。ぐずでのろまな子。
そんなふたりはある時からいつも一緒にいるようになった。でも相変わらず、ふたりはみんなから孤立している。でも、なんだか幸せそう・・・。
恵美ちゃんには年の離れた弟ブンがいる。勉強もスポーツも抜群だ。ところが小学校の高学年になったとき、ライバルが出現した。モトだ。初めて味わう負け。悔しくて、自分自身も嫌なやつになっていきそうだった。しかし、ブンとモトはあるきっかけで親友になった…。
恵美ちゃんとブンの友だちが主人公となって物語が繋がってゆく。
友だちって何? 本当の思いやりって?
誰もが持っている見栄っ張りな心や、自分を偽る心。それを「あなたはあなたのままでいいんだよ」って気づかせてくれるような物語。
「これはいったい誰が書いてるの?」
と思わせる語り口調だ。
例えば、『ブンちゃん、次はきみの話だ』とか、『きみは分かっていた』というふうに。
そのせいかとても客観的に彼らを見ることができる。また、そういうところ自分にもあるよな~と自分を見つめることも出来る。
この『きみ』と呼んでいる人は誰なのか最後の章で分かるのだが、そこに至るまでに恵美ちゃんの人生やブンの人生にいろいろあって、「ああ、こうやって繋がっていたんだ」とぴったり収まる。
ここに登場する子どもたちの些細な心の成長の数々、まるで原石を磨くように輝きだす。みんなこんなふうに輝いていけたら、いじめや探りあいのない社会になっていけるのになあと思う。
かっこいいことしなくっても、ほんの少しの発想の転換で楽になれる。そんなエピソードがいっぱい詰まっている。
特に、最後の3章あたりから涙が止まらなくなる。
読みながらこんなに泣いたのは久しぶりだ。
by mam-san
| 2005-10-31 12:02
| 重松清