2007年 03月 22日
「ひつじが丘」三浦綾子(講談社文庫)
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敬虔な牧師の娘、奈緒美。
奈緒美と同級生の京子。
奈緒美たちの高校の英語教師、竹山。
京子の兄であり、竹山の親友、良一。
札幌を舞台に、4人の愛が交差する。
◆
何年かぶりで本棚から取り出してきた。
おそらく3度目になる。
最初に読んだときの感動を覚えている。
≪愛とはゆるすことだよ、相手を生かすことだよ≫
この言葉がとても印象に残っている。
両親の反対を押し切って駆け落ち同然で良一と暮らし始めた奈緒美。
ところが、良一の墜落しきった姿に耐えられず逃げ帰る。
両親は奈緒美がいつ帰ってきてもいいようにと、夜も教会の扉の鍵をかけないでいた。
親不孝した娘へのゆるし。
その両親の愛を痛いほど感じた奈緒美だが、良一をゆるすことは出来なかった。
教会で奈緒美の両親と居るようになった良一は、自分自身を悔い改め立ち直ろうとしていた。奈緒美だけでなく、全てのものにゆるしを乞う姿勢をくずさなかった。
それでも最後までゆるせなかった奈緒美。
あとになって、良一の真の姿を知った彼女は深い悲しみにつつまれる。
別の三浦さんの小説だったか、「人生の断片は美しくありたい」という言葉を、うろ覚えだがずっと心の隅にある。
この良一というのはまさにそうだなあと思う。
私たちはいつどこで人生を断ち切られるか分からない。
だからいつ切られてもいいように、せめて誠実に生きたいと思う。
人を責め、自分ばかりが正しいと思い込んでいる私たち。
ほんとうは、自分自身のほうが、幾度もゆるしを乞わないとだめな人間だとは誰も気づかない。
だから人と人はたびたびすれ違う。
信仰に関係なく、ごく普通の日常生活にでも相手をゆるし生かすことは多々ある。
些細な意見の食い違い。「ゆるす」までいかなくても「聞く」だけでも多少違ってくるかも。
大きな「ゆるし」などと構えなくても、小さな「受け入れ」が出来る人になりたい。
でも難しいよね。
それから、もうひとつ心に留めておきたい言葉。
≪人間にとって生きているということは、それだけでも大仕事だよ。≫
≪…生きていることが無意味に見える時があっても、人間は生命を大事にして生きねばならない…≫
奈緒美と同級生の京子。
奈緒美たちの高校の英語教師、竹山。
京子の兄であり、竹山の親友、良一。
札幌を舞台に、4人の愛が交差する。
◆
何年かぶりで本棚から取り出してきた。
おそらく3度目になる。
最初に読んだときの感動を覚えている。
≪愛とはゆるすことだよ、相手を生かすことだよ≫
この言葉がとても印象に残っている。
両親の反対を押し切って駆け落ち同然で良一と暮らし始めた奈緒美。
ところが、良一の墜落しきった姿に耐えられず逃げ帰る。
両親は奈緒美がいつ帰ってきてもいいようにと、夜も教会の扉の鍵をかけないでいた。
親不孝した娘へのゆるし。
その両親の愛を痛いほど感じた奈緒美だが、良一をゆるすことは出来なかった。
教会で奈緒美の両親と居るようになった良一は、自分自身を悔い改め立ち直ろうとしていた。奈緒美だけでなく、全てのものにゆるしを乞う姿勢をくずさなかった。
それでも最後までゆるせなかった奈緒美。
あとになって、良一の真の姿を知った彼女は深い悲しみにつつまれる。
別の三浦さんの小説だったか、「人生の断片は美しくありたい」という言葉を、うろ覚えだがずっと心の隅にある。
この良一というのはまさにそうだなあと思う。
私たちはいつどこで人生を断ち切られるか分からない。
だからいつ切られてもいいように、せめて誠実に生きたいと思う。
人を責め、自分ばかりが正しいと思い込んでいる私たち。
ほんとうは、自分自身のほうが、幾度もゆるしを乞わないとだめな人間だとは誰も気づかない。
だから人と人はたびたびすれ違う。
信仰に関係なく、ごく普通の日常生活にでも相手をゆるし生かすことは多々ある。
些細な意見の食い違い。「ゆるす」までいかなくても「聞く」だけでも多少違ってくるかも。
大きな「ゆるし」などと構えなくても、小さな「受け入れ」が出来る人になりたい。
でも難しいよね。
それから、もうひとつ心に留めておきたい言葉。
≪人間にとって生きているということは、それだけでも大仕事だよ。≫
≪…生きていることが無意味に見える時があっても、人間は生命を大事にして生きねばならない…≫
by mam-san
| 2007-03-22 22:22
| (ま行の作家・他)