2007年 06月 05日
「ホームタウン」小路幸也(幻冬社)
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札幌の老舗デパートで働く柾人のもとに、疎遠となっていた妹・木実から手紙が届く。
柾人たち兄妹は、柾人が中学生のとき、両親を悲惨な出来事で失っていた。
故郷を逃げるようにして去り、しばらく知人の家で暮らしていた二人だが、その後柾人は家を出て、木実とはずっと会っていなかったのだ。
手紙には三ヶ月後に結婚すると書いてあった。
ところが、ある日突然、妹と婚約者がほぼ同時に失踪してしまった。
柾人は、二人を捜すため、これまで避けてきた故郷の旭川に向かう。
人に言えぬ事情を抱えた兄妹が、自分の居場所を見つけるまでというヒューマンドラマ「ホームタウン」と思い読み始めた。
ところが、妹たちが消えてしまったというミステリー。
柾人のデパートでの特異な仕事。
かなりヤバイ人たちの介入。
「これはハードボイルドミステリーか?」と思うような展開にだんだん穏やかならぬものを感じながら読み進めていった。
とくに、その柾人の仕事。デパートの番人というか探偵というか、必殺仕事人というか、CIAか!?というような仕事内容だし、彼の上司や彼を助ける仲間というのが海外ミステリーで読んでいたクィネルのクリーシィの仲間のようで、途中はハードボイルド系だった。
それに妹の親友がからみ、恋愛形態の選択肢みたいな問題もある。
いろんな要素がてんこ盛りで戸惑う部分もあるが、最後までほぼ一気に読めた。
そんな中で一番カクとなるのが、以前読んで印象深かった「いつもの朝に」(今邑彩)と同じく、罪の遺伝。
その暗い過去を引きずって、自分をリセットしないと幸せにはなれないと思っていた妹。柾人にしても新たな罪の意識を抱え込み、表面上はポーカーフェイスでいながらも心の中にいつも自責の念を持っている。
しかし、木実の結婚がきっかけとなって、過去を切り離すためあえて距離を置いていた二人がまた向き合う。
最後にはあたたかな「ホームタウン」の出来上がりで、人の繋がりというのはいいもんだなあと思えた。
いろんなアイテムがありすぎて大忙しなんだが、キャラクターは皆よかった。誰が主人公になってもおかしくないほど。
柾人たち兄妹は、柾人が中学生のとき、両親を悲惨な出来事で失っていた。
故郷を逃げるようにして去り、しばらく知人の家で暮らしていた二人だが、その後柾人は家を出て、木実とはずっと会っていなかったのだ。
手紙には三ヶ月後に結婚すると書いてあった。
ところが、ある日突然、妹と婚約者がほぼ同時に失踪してしまった。
柾人は、二人を捜すため、これまで避けてきた故郷の旭川に向かう。
人に言えぬ事情を抱えた兄妹が、自分の居場所を見つけるまでというヒューマンドラマ「ホームタウン」と思い読み始めた。
ところが、妹たちが消えてしまったというミステリー。
柾人のデパートでの特異な仕事。
かなりヤバイ人たちの介入。
「これはハードボイルドミステリーか?」と思うような展開にだんだん穏やかならぬものを感じながら読み進めていった。
とくに、その柾人の仕事。デパートの番人というか探偵というか、必殺仕事人というか、CIAか!?というような仕事内容だし、彼の上司や彼を助ける仲間というのが海外ミステリーで読んでいたクィネルのクリーシィの仲間のようで、途中はハードボイルド系だった。
それに妹の親友がからみ、恋愛形態の選択肢みたいな問題もある。
いろんな要素がてんこ盛りで戸惑う部分もあるが、最後までほぼ一気に読めた。
そんな中で一番カクとなるのが、以前読んで印象深かった「いつもの朝に」(今邑彩)と同じく、罪の遺伝。
その暗い過去を引きずって、自分をリセットしないと幸せにはなれないと思っていた妹。柾人にしても新たな罪の意識を抱え込み、表面上はポーカーフェイスでいながらも心の中にいつも自責の念を持っている。
しかし、木実の結婚がきっかけとなって、過去を切り離すためあえて距離を置いていた二人がまた向き合う。
最後にはあたたかな「ホームタウン」の出来上がりで、人の繋がりというのはいいもんだなあと思えた。
いろんなアイテムがありすぎて大忙しなんだが、キャラクターは皆よかった。誰が主人公になってもおかしくないほど。
by mam-san
| 2007-06-05 16:21
| 小路幸也