2008年 02月 13日
「向日葵の咲かない夏」道尾秀介(新潮社)
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小学4年生の1学期最後の日、事件は起きた。
学校を休んでいたクラスメートS君の家にプリントを届けに行ったミチオは、彼が首吊り自殺しているのを発見する。
慌てて学校へ戻り、担任にS君が死んでいたと告げる。
しかし、担任と警察がS君の家に確認に行くと死体は消えていた。
「嘘じゃない」
ミチオは言うが誰も信じてくれない。
ところがある日、混乱したミチオの前に、突然S君が現れた。
たしかにS君は死んでいた。あるモノの姿に生まれ変わってミチオの前に現れたのだ。
そして「僕の死体をさがして」とS君は言った…。
なんとも奇妙な話でした。
ホラーですね。
それもどんよりどろどろです。
どれが本当でどれが嘘か、誰が本当のことを言っていて、誰が嘘をついているか。
ミチオの視点からと、S君の近所に住んでいる男の視点で、真相を1枚1枚剥がしていきます。
最後の1枚が剥がれたとき、これはこういうことだったんだと分かります。でもこんな形の解決でいいのかって、終ってもどんよりしてます。
何も救われたものがなかったような気がします。
誰ひとりとして救われる人はいないという苦い結末。
そして、子どもの心というものは、大人が考えているよりはるかに繊細で傷つきやすいんだよなと思いました。
しかしながら、ストーリーに引き込まれてページが進みます。
ある時点でまた最初に確認のため戻ったりします。
こういうトリックは好きですが、もっと颯爽と騙してくれるトリックだと後味もいいんですけどね。
あと、ネタバレ含みます。
(新聞の書評で見て「ソロモンの犬」を図書館で予約してますが、またこういうどんよりホラーだったらキツイなあ…)
上で書いた「ある時点」で、歌野晶午さんの「女王様と私」を思い出しました。
あの子の幼いながらもいやにしっかりしているところが不自然で、途中から「これは…」と思ってましたが、ほんとに「ラテックスのようにすべすべしたお腹」の子だったとは。
ミチオもS君もお爺さんも孤独だったんですね。孤独さが心の歪みとなって、自分の中にもうひとつ別の楽~に生きられる世界を作る。逃げてるといえば逃げている。
お母さんだってそう。お父さんがもう少ししっかりしてたらこうはならなかったかも。
しかし、
あの担任はお咎めなし?
あれも問題でしょ。
学校を休んでいたクラスメートS君の家にプリントを届けに行ったミチオは、彼が首吊り自殺しているのを発見する。
慌てて学校へ戻り、担任にS君が死んでいたと告げる。
しかし、担任と警察がS君の家に確認に行くと死体は消えていた。
「嘘じゃない」
ミチオは言うが誰も信じてくれない。
ところがある日、混乱したミチオの前に、突然S君が現れた。
たしかにS君は死んでいた。あるモノの姿に生まれ変わってミチオの前に現れたのだ。
そして「僕の死体をさがして」とS君は言った…。
なんとも奇妙な話でした。
ホラーですね。
それもどんよりどろどろです。
どれが本当でどれが嘘か、誰が本当のことを言っていて、誰が嘘をついているか。
ミチオの視点からと、S君の近所に住んでいる男の視点で、真相を1枚1枚剥がしていきます。
最後の1枚が剥がれたとき、これはこういうことだったんだと分かります。でもこんな形の解決でいいのかって、終ってもどんよりしてます。
何も救われたものがなかったような気がします。
誰ひとりとして救われる人はいないという苦い結末。
そして、子どもの心というものは、大人が考えているよりはるかに繊細で傷つきやすいんだよなと思いました。
しかしながら、ストーリーに引き込まれてページが進みます。
ある時点でまた最初に確認のため戻ったりします。
こういうトリックは好きですが、もっと颯爽と騙してくれるトリックだと後味もいいんですけどね。
あと、ネタバレ含みます。
(新聞の書評で見て「ソロモンの犬」を図書館で予約してますが、またこういうどんよりホラーだったらキツイなあ…)
上で書いた「ある時点」で、歌野晶午さんの「女王様と私」を思い出しました。
あの子の幼いながらもいやにしっかりしているところが不自然で、途中から「これは…」と思ってましたが、ほんとに「ラテックスのようにすべすべしたお腹」の子だったとは。
ミチオもS君もお爺さんも孤独だったんですね。孤独さが心の歪みとなって、自分の中にもうひとつ別の楽~に生きられる世界を作る。逃げてるといえば逃げている。
お母さんだってそう。お父さんがもう少ししっかりしてたらこうはならなかったかも。
しかし、
あの担任はお咎めなし?
あれも問題でしょ。
by mam-san
| 2008-02-13 17:01
| 道尾秀介