2010年 04月 17日
「龍神の雨」道尾秀介(新潮社)
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降りしきる雨よ、願わくば、僕らの罪のすべてを洗い流してくれ――。
すべては雨のせいだった。雨がすべてを狂わせた。血のつながらない親と暮らす二組の兄弟は、それぞれに悩みを抱え、死の疑惑と戦っていた。些細な勘違いと思い込みが、新たな悪意を引き寄せ、二組の兄弟を交錯させる。両親の死の真実はどこに? すべての疑念と罪を呑み込んで、いま未曾有の台風が訪れる。慟哭と贖罪の最新長編。(新潮社紹介より)
ちょうど雨が続く憂鬱なときだったから、雨滴が髪やら服の裾を濡らす感じがリアルで、ものすごく重くなりながら読みました。
母が再婚した直後に事故死し、19歳の兄・蓮と中学生の妹・楓は、義理の父親と暮らしています。
ただこの継父がどうしようもない男らしく、彼らに暴力をふるうわ、働かないわで、二人は「いっそ死んでくれ」と思っています。
もう一組の兄弟も似たような家庭で、母親の死後、父親は再婚したけど病気で亡くなり、今は継母と暮らしています。でも、兄のほうは、この継母が自分たちの母親を事故に見せかけて殺したと思い込んでいます。弟は自分のせいだと思っているのですが。
この二組の兄弟がある出来事から関わりを持ちます。
それぞれが掛け違えたボタンは最後まで直ることなく、どんどん自分たちを追い込んでしまうのです。
どちらもこの状況をなんとか変えたいと思っているのですが、それが運命の悪戯か、どうしようもないほうへと転がっていきます。
みんな、言葉が足りないから。相手に心配をかけたくないから、あえて口を閉ざす。
もう悪循環なのです。
そして、すべての真相が明らかになったとき・・・・
人って、思い込みで物事を見ていることが多いですよね。
人物評価にしても。
それに早く気づけばいくらでも修正できるのに。
時間を戻せないことがどんなに残酷なことか、この雨が洗い流してくれたら~と思わずにはいられません。
でもラストは、台風一過かな~と思わせる面もあり、少しは救われるかなと。
引き込まれるお話でした。
すべては雨のせいだった。雨がすべてを狂わせた。血のつながらない親と暮らす二組の兄弟は、それぞれに悩みを抱え、死の疑惑と戦っていた。些細な勘違いと思い込みが、新たな悪意を引き寄せ、二組の兄弟を交錯させる。両親の死の真実はどこに? すべての疑念と罪を呑み込んで、いま未曾有の台風が訪れる。慟哭と贖罪の最新長編。(新潮社紹介より)
ちょうど雨が続く憂鬱なときだったから、雨滴が髪やら服の裾を濡らす感じがリアルで、ものすごく重くなりながら読みました。
母が再婚した直後に事故死し、19歳の兄・蓮と中学生の妹・楓は、義理の父親と暮らしています。
ただこの継父がどうしようもない男らしく、彼らに暴力をふるうわ、働かないわで、二人は「いっそ死んでくれ」と思っています。
もう一組の兄弟も似たような家庭で、母親の死後、父親は再婚したけど病気で亡くなり、今は継母と暮らしています。でも、兄のほうは、この継母が自分たちの母親を事故に見せかけて殺したと思い込んでいます。弟は自分のせいだと思っているのですが。
この二組の兄弟がある出来事から関わりを持ちます。
それぞれが掛け違えたボタンは最後まで直ることなく、どんどん自分たちを追い込んでしまうのです。
どちらもこの状況をなんとか変えたいと思っているのですが、それが運命の悪戯か、どうしようもないほうへと転がっていきます。
みんな、言葉が足りないから。相手に心配をかけたくないから、あえて口を閉ざす。
もう悪循環なのです。
そして、すべての真相が明らかになったとき・・・・
人って、思い込みで物事を見ていることが多いですよね。
人物評価にしても。
それに早く気づけばいくらでも修正できるのに。
時間を戻せないことがどんなに残酷なことか、この雨が洗い流してくれたら~と思わずにはいられません。
でもラストは、台風一過かな~と思わせる面もあり、少しは救われるかなと。
引き込まれるお話でした。
by mam-san
| 2010-04-17 16:36
| 道尾秀介