2007年 07月 12日
街のあかり(2006年フィンランド)
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警備会社で働くコイスティネンは、家族も友人も恋人もいない孤独で寡黙な男。
愛想がなさすぎるので同僚からも疎まれている。
そんな彼の前にひとりの女性が現れる。偶然の出会いのように思われたそれは、警備員であるコイスティネンを利用しようとしたギャングの罠だった。
そうとも知らず彼はその女に恋をする。
そんな彼の様子を、いたたまれない思いで見つめている女性もいた。彼がいつも立ち寄るソーセージ屋の女だ。
ギャング達の計画通り、宝石強盗の罪を着せられたコイスティネンは刑務所に送られることになる。それでも自分を罠にはめた女のことを警察に言わなかった。そういう彼の性格をも見抜いて利用されていたのだ。
やがて、刑期を終え出所してきたコイスティネンを待っていたのは、社会の壁とさらなる追い討ち、そしてある「あかり」だった…。
『過去のない男』のアキ・カウリスマキ監督作品だそうです。
それを知ったから観てきました。
『過去~』同様、全体的に暗い映画でした。哀愁と、どうしようもない切なさと、渋みと、日本でいうところの演歌っぽい世界でしょうか。
このコイスティネンは常に節目がちです。惚れたであろう女と一緒にいるときでさえ笑うことはありません。周りから「負け犬」よばわりの人生です。
ひとつ、そんな彼が唯一歯を見せて笑ったのが、刑務所の陽だまりの中で囚人たちと談笑しているときでした。どれほど今まで彼には居場所がなかったんだと痛感させられます。
それでも将来は自分で起業する夢を捨てず、起業講座にも出席し、銀行の融資を申込みに行ったりします。もちろん銀行は「お前みたいなものに貸す金はない」とピシャリと断りますが。
そんな言われ方をしても、「いずれは、いずれは」と希望を捨てません。
全て受け入れてしまうんです。
裏切られた女をも憎むことはせず、黙って自分が被った運命を受け入れます。
なぜ反論しないのかとじれったくもなります。
裁判のときだって、あのソーセージ屋の女はなぜ「そういえば最近女が近づいていた」とかを刑事にでも言わないんでしょうか。
誠実に生きることの大切さは分かりますが、見守るだけでは救われないときだってあるような気もするんですが…。
ただ、最後だけは「負け犬じゃない!」と発奮したりしますが、それも彼にとってはマイナスになることなく結局は「あかり」発見みたいな形になるのですが。
その最後がよかったですね。
知らぬ間に涙が頬を伝ってました。
地味だけどよい映画でした。
ちなみに、『過去のない男』もあまり知られていないと思うのでそのときの感想を、
ここ
(梅田ガーデンシネマ)
愛想がなさすぎるので同僚からも疎まれている。
そんな彼の前にひとりの女性が現れる。偶然の出会いのように思われたそれは、警備員であるコイスティネンを利用しようとしたギャングの罠だった。
そうとも知らず彼はその女に恋をする。
そんな彼の様子を、いたたまれない思いで見つめている女性もいた。彼がいつも立ち寄るソーセージ屋の女だ。
ギャング達の計画通り、宝石強盗の罪を着せられたコイスティネンは刑務所に送られることになる。それでも自分を罠にはめた女のことを警察に言わなかった。そういう彼の性格をも見抜いて利用されていたのだ。
やがて、刑期を終え出所してきたコイスティネンを待っていたのは、社会の壁とさらなる追い討ち、そしてある「あかり」だった…。
『過去のない男』のアキ・カウリスマキ監督作品だそうです。
それを知ったから観てきました。
『過去~』同様、全体的に暗い映画でした。哀愁と、どうしようもない切なさと、渋みと、日本でいうところの演歌っぽい世界でしょうか。
このコイスティネンは常に節目がちです。惚れたであろう女と一緒にいるときでさえ笑うことはありません。周りから「負け犬」よばわりの人生です。
ひとつ、そんな彼が唯一歯を見せて笑ったのが、刑務所の陽だまりの中で囚人たちと談笑しているときでした。どれほど今まで彼には居場所がなかったんだと痛感させられます。
それでも将来は自分で起業する夢を捨てず、起業講座にも出席し、銀行の融資を申込みに行ったりします。もちろん銀行は「お前みたいなものに貸す金はない」とピシャリと断りますが。
そんな言われ方をしても、「いずれは、いずれは」と希望を捨てません。
全て受け入れてしまうんです。
裏切られた女をも憎むことはせず、黙って自分が被った運命を受け入れます。
なぜ反論しないのかとじれったくもなります。
裁判のときだって、あのソーセージ屋の女はなぜ「そういえば最近女が近づいていた」とかを刑事にでも言わないんでしょうか。
誠実に生きることの大切さは分かりますが、見守るだけでは救われないときだってあるような気もするんですが…。
ただ、最後だけは「負け犬じゃない!」と発奮したりしますが、それも彼にとってはマイナスになることなく結局は「あかり」発見みたいな形になるのですが。
その最後がよかったですね。
知らぬ間に涙が頬を伝ってました。
地味だけどよい映画でした。
ちなみに、『過去のない男』もあまり知られていないと思うのでそのときの感想を、
ここ
(梅田ガーデンシネマ)
by mam-san
| 2007-07-12 16:22
| 映画(ま)