2007年 08月 09日
「家日和」奥田英朗(集英社)
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6つの家庭の、夫目線、妻目線で描かれるそれぞれの物語。
ちなみに、『ビター&スウィートな“在宅”小説』だそうで。
①ネットオークションにはまってしまった主婦・紀子。
家に眠っていた不要品の処理にと、初めてオークションに出品した。「自分でもやれる!」という自信と「評価」に味をしめ、夫が大事にしているモノまで「どうせ使ってないから」と出品してしまう…。
なんとなく分かる。「やってみれば案外簡単じゃん!」とのめり込んで、入金した代金はちょっとした贅沢品に使う気持ち。
ネットオークションじゃないけど、夫のゴルフの賞品の「電動キックボード」をリサイクルショップで売って、そのお金は手間賃として頂いた…(笑)
②会社の倒産でいきなり失業してしまった夫・裕輔。
「じゃあ私が働く」と宣言した妻を送り出し、裕輔は朝ご飯を作り、子どもを幼稚園に送り、掃除洗濯をする。失業して落ち込むこともなく、意外に合っている主夫業…。
女性でも最初は家事をすべく生まれてきたわけでもなく、だんだん自分で手法を開拓し今の地位(?)を築いてきた(?)
これからはどっちがやってもいいんでないかい?
③妻に出ていかれ一人マンションにがらんと残された夫・正春。
ほとんどの家具を持って行かれ、この部屋で暮らし続けるにはまずは家具探しからと、あれこれ東奔西走する。スタイリッシュな妻が作った部屋とは正反対の、男のこだわりを存分に表現した部屋に成り変った。
女性というものは、「○しい部屋」みたく、雑誌に載っている部屋にあこがれる。私もそういうのにあこがれて布をあしらったりしていたもんだが、いつのまにかそういうのからは卒業した。
リフォームしても、結局は本棚にはぎっしりと本が積まれ、ビデオやらCDやらを貯め込んでいる部屋になっている。隠れ家的部屋が一番居心地いいのかも。
④DMの宛名入力の内職をしている主婦・弘子。
担当の若い営業マンがつけている柑橘系のフレグランスの香りにクラッと…。
営業マンが家に来た日の夜は、きまって大胆な夢を見るようになる。
妄想の力ってすごい…(笑)
⑤イラストレーターでもある主婦・春代。
結婚後何度も転職を繰り返す夫。今回彼が閃いた仕事はカーテン屋。春代はそんな夫のやることが気が気でない。だが夫は、持ち前の営業気質でどんどんよい方向に転がしてゆくのだった。
いつだって、自分のほうが冷静で判断力があると信じてる。でも待てよ。案外、この人ってやるのかもしれない。
認めるのは悔しいけど、時々そう思うことがある。
お互いそうよね(笑)
⑥自宅の書斎で執筆にはげむ小説家の夫・康夫。
文学賞を受賞し、ベストセラーを出してから余裕のある生活になった康夫夫婦。妻は仕事をやめ、今はロハスに凝っている。毎日玄米御飯に無農薬野菜、ヨガに、地球にやさしい暮らし。息子たちは抵抗し、康夫も妻の仲間を異教徒のような目で見るのだが…。
エコとかクールビズとか言いながら、クーラーかけてる会社や商業施設。どこか変だよ日本人。
はやりのロハスも、確かに胡散臭い。先進国の暇な連中が自己満足のためにやってるんじゃって思ったりもする。康夫のようにね。
でもこれだけ徹底してやれば、ただしみ~んなが、地球も持ち直すんでは?
6篇ともおもしろかったです。
最初のオークションの話も、「ああ、どんどん底無し沼状態になるんじゃ…?」と心配しながら読んでいきましたが、すんでのとこで…。
全部こんな調子です。
だからこそ、「家日和」ならぬ「小春日和」みたいでほっとする小説でした。
ブラックだけで終ると殺伐としたものしか残りませんものね。
普通がいいや。
(追記)
そうそう、『サウスバウンド』が映画化されたのね。元過激派お父さんに豊川悦司、お母さんに天海祐希。ふうん…、そうきたか。
ちなみに、『ビター&スウィートな“在宅”小説』だそうで。
①ネットオークションにはまってしまった主婦・紀子。
家に眠っていた不要品の処理にと、初めてオークションに出品した。「自分でもやれる!」という自信と「評価」に味をしめ、夫が大事にしているモノまで「どうせ使ってないから」と出品してしまう…。
なんとなく分かる。「やってみれば案外簡単じゃん!」とのめり込んで、入金した代金はちょっとした贅沢品に使う気持ち。
ネットオークションじゃないけど、夫のゴルフの賞品の「電動キックボード」をリサイクルショップで売って、そのお金は手間賃として頂いた…(笑)
②会社の倒産でいきなり失業してしまった夫・裕輔。
「じゃあ私が働く」と宣言した妻を送り出し、裕輔は朝ご飯を作り、子どもを幼稚園に送り、掃除洗濯をする。失業して落ち込むこともなく、意外に合っている主夫業…。
女性でも最初は家事をすべく生まれてきたわけでもなく、だんだん自分で手法を開拓し今の地位(?)を築いてきた(?)
これからはどっちがやってもいいんでないかい?
③妻に出ていかれ一人マンションにがらんと残された夫・正春。
ほとんどの家具を持って行かれ、この部屋で暮らし続けるにはまずは家具探しからと、あれこれ東奔西走する。スタイリッシュな妻が作った部屋とは正反対の、男のこだわりを存分に表現した部屋に成り変った。
女性というものは、「○しい部屋」みたく、雑誌に載っている部屋にあこがれる。私もそういうのにあこがれて布をあしらったりしていたもんだが、いつのまにかそういうのからは卒業した。
リフォームしても、結局は本棚にはぎっしりと本が積まれ、ビデオやらCDやらを貯め込んでいる部屋になっている。隠れ家的部屋が一番居心地いいのかも。
④DMの宛名入力の内職をしている主婦・弘子。
担当の若い営業マンがつけている柑橘系のフレグランスの香りにクラッと…。
営業マンが家に来た日の夜は、きまって大胆な夢を見るようになる。
妄想の力ってすごい…(笑)
⑤イラストレーターでもある主婦・春代。
結婚後何度も転職を繰り返す夫。今回彼が閃いた仕事はカーテン屋。春代はそんな夫のやることが気が気でない。だが夫は、持ち前の営業気質でどんどんよい方向に転がしてゆくのだった。
いつだって、自分のほうが冷静で判断力があると信じてる。でも待てよ。案外、この人ってやるのかもしれない。
認めるのは悔しいけど、時々そう思うことがある。
お互いそうよね(笑)
⑥自宅の書斎で執筆にはげむ小説家の夫・康夫。
文学賞を受賞し、ベストセラーを出してから余裕のある生活になった康夫夫婦。妻は仕事をやめ、今はロハスに凝っている。毎日玄米御飯に無農薬野菜、ヨガに、地球にやさしい暮らし。息子たちは抵抗し、康夫も妻の仲間を異教徒のような目で見るのだが…。
エコとかクールビズとか言いながら、クーラーかけてる会社や商業施設。どこか変だよ日本人。
はやりのロハスも、確かに胡散臭い。先進国の暇な連中が自己満足のためにやってるんじゃって思ったりもする。康夫のようにね。
でもこれだけ徹底してやれば、ただしみ~んなが、地球も持ち直すんでは?
6篇ともおもしろかったです。
最初のオークションの話も、「ああ、どんどん底無し沼状態になるんじゃ…?」と心配しながら読んでいきましたが、すんでのとこで…。
全部こんな調子です。
だからこそ、「家日和」ならぬ「小春日和」みたいでほっとする小説でした。
ブラックだけで終ると殺伐としたものしか残りませんものね。
普通がいいや。
(追記)
そうそう、『サウスバウンド』が映画化されたのね。元過激派お父さんに豊川悦司、お母さんに天海祐希。ふうん…、そうきたか。
by mam-san
| 2007-08-09 17:00
| 奥田英朗