2008年 08月 04日
「犯人に告ぐ」雫井脩介(双葉社)
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川崎市で連続児童殺害事件が起きる。
1年が過ぎようとしても犯人の目星はつかず、捜査は行き詰まりを見せていた。
そんな中、本部は新たな作戦に出る。
捜査責任者がテレビに出演し、犯人をおびき出すという「劇場型捜査」の方法だった。
その主役として選ばれたのが、6年前に男児誘拐事件で失策を演じた巻島警視だった。
メディアによって叩かれた巻島が、再びメディアの前に立ち犯人を追う…。
映画化もされ、ずっと読みたかった小説。やっと読む機会ができました。
久々に硬派な警察小説で引きこまれました。
長年のお役所生活で多少は処世術も身に付けてはいるが、根っからの現場人間巻島のポリシーある生き方にホレボレしました。
そんな巻島が唯一弱音を吐ける人物・津田長さんもよかったですね。
彼の言葉はひとつひとつしみます。
「無理はせんでいいんですよ。あなたは無理をせんでいいんです」とか…。
ぐっときます。
そういうことを言ってもらえるとどれだけ楽になれるか。
彼らとは正反対のところにいるあの植草(未央子もそうだけど)は、自分のことしか考えていなくて、人間てそういう部分が本音かもとは思うけど、それでもムカつきますよね。エリートさんは自分の手に入らないものは我慢ならないのね。
「痛そうじゃないから痛くないんだろうと思ったら大間違いだ……それは単にその人が我慢してるだけですからな」
の津田長の言葉は、いじめ問題にも使えますね。
ところで、この犯人ですが、始終透明人間みたいな存在でした。
警察側が主役だからでもありますが、これは「犯人は誰か」じゃないお話ですものね。
でも昨今の事件にしても、ほんとにごく普通の人・少年たちが犯罪を犯すというのが多いです。
それこそ大きな恨みを持っていて、目をギラつかせた犯人というのが減って、目立たない、つい隣に座っている人が…っていうのが増えてきたのではないでしょうか。
でも彼らって「目立ってやる」願望が強くて悶々としてる。
だからこの「劇場型捜査」が生まれるのでは?
曲がった世の中ですよね。
この硬派なお話の中にも「箸休め」があるわけでして、それが「小川くん」なのね。
マンガのキャラが浮かびます(笑)
ある意味、名刑事だったりして…。
(余談)
映画化で、豊川さんが主役というのは知ってましたが、他のキャストは知りませんでした。
でも小説を読んでいくと、津田長さんのイメージは勝手に浮かび、最初から最後まで「その人」で読みました。
読後、映画の公式サイトを見ると、本当に「その人」笹野さんだったのでびっくり。
監督さんと同じひらめきね…(笑)
1年が過ぎようとしても犯人の目星はつかず、捜査は行き詰まりを見せていた。
そんな中、本部は新たな作戦に出る。
捜査責任者がテレビに出演し、犯人をおびき出すという「劇場型捜査」の方法だった。
その主役として選ばれたのが、6年前に男児誘拐事件で失策を演じた巻島警視だった。
メディアによって叩かれた巻島が、再びメディアの前に立ち犯人を追う…。
映画化もされ、ずっと読みたかった小説。やっと読む機会ができました。
久々に硬派な警察小説で引きこまれました。
長年のお役所生活で多少は処世術も身に付けてはいるが、根っからの現場人間巻島のポリシーある生き方にホレボレしました。
そんな巻島が唯一弱音を吐ける人物・津田長さんもよかったですね。
彼の言葉はひとつひとつしみます。
「無理はせんでいいんですよ。あなたは無理をせんでいいんです」とか…。
ぐっときます。
そういうことを言ってもらえるとどれだけ楽になれるか。
彼らとは正反対のところにいるあの植草(未央子もそうだけど)は、自分のことしか考えていなくて、人間てそういう部分が本音かもとは思うけど、それでもムカつきますよね。エリートさんは自分の手に入らないものは我慢ならないのね。
「痛そうじゃないから痛くないんだろうと思ったら大間違いだ……それは単にその人が我慢してるだけですからな」
の津田長の言葉は、いじめ問題にも使えますね。
ところで、この犯人ですが、始終透明人間みたいな存在でした。
警察側が主役だからでもありますが、これは「犯人は誰か」じゃないお話ですものね。
でも昨今の事件にしても、ほんとにごく普通の人・少年たちが犯罪を犯すというのが多いです。
それこそ大きな恨みを持っていて、目をギラつかせた犯人というのが減って、目立たない、つい隣に座っている人が…っていうのが増えてきたのではないでしょうか。
でも彼らって「目立ってやる」願望が強くて悶々としてる。
だからこの「劇場型捜査」が生まれるのでは?
曲がった世の中ですよね。
この硬派なお話の中にも「箸休め」があるわけでして、それが「小川くん」なのね。
マンガのキャラが浮かびます(笑)
ある意味、名刑事だったりして…。
(余談)
映画化で、豊川さんが主役というのは知ってましたが、他のキャストは知りませんでした。
でも小説を読んでいくと、津田長さんのイメージは勝手に浮かび、最初から最後まで「その人」で読みました。
読後、映画の公式サイトを見ると、本当に「その人」笹野さんだったのでびっくり。
監督さんと同じひらめきね…(笑)
by mam-san
| 2008-08-04 15:31
| (さ行の作家・他)