2008年 09月 06日
「Run!Run!Run!」桂望実(文藝春秋)
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岡崎優は天才的長距離ランナー。
1日24時間、陸上のためだけに全てを費やしている。
恵まれた家庭環境、父親の熱心なサポートもあり、大会では他の選手の背中を見て走ったことはない。
父が果たせなかった箱根駅伝に出場し、将来はオリンピックで金メダルを獲るという目標がある。
大学生になった優は陸上部に所属するが、自意識過剰で、自分以外には興味はない。
メンバーを軽蔑し、彼らと距離を置く優だったが、同じ1年の岩本だけはいつも優を尊敬し、親しく話し掛けていた。
そんなある日、兄が突然亡くなる。それを境に壊れてゆく家族。そして出生に関する疑惑が浮上する。
このまま走り続けるべきなのか。
箱根駅伝が近づく中、優はある決心をする…。
駅伝の清々しい話だと思ってました。
(どのレビューを読んでもたいていそうでしたね)
以前読んだ『サクリファイス』(近藤史恵)はロードレースの話でしたが、あれのようにレースの駆け引きだとか、選手の精神力、チームワーク、、、そんなことを中心にしているのかと思ってました。
ところが、これはただの青春駅伝物語ではありませんでした。
(ネタバレ的かもしれませんが…)
主人公の優は、とても屈折した子です。
たしかに、毎日毎日自己監理を怠ることなく、どんなときも練習を欠かさない努力の塊のトップランナーです。
でも、世界は自分のために回っている。周囲への思い遣りの欠片もない。
これは親の責任ですね。
いくら夢を託すといえども、子どもはロボットじゃないです。子育てというよりゲームですね。
驚いたことに本当にこんなことが出来てしまうなんて、ドーピングどころの騒ぎじゃないです。
それだったら、うちだって≪あのDNA≫が欲しい!!
な~んてことは冗談のレベルですよね、普通。
先天性難病の発症確率があるなら考えたりもするでしょうが…。
・・・と、意外な展開を見せていくのですが、
このことと、やはり「人は一人じゃ生きていけないんだよ」ってことを感じさせてくれるお話です。
岩ちゃんは、屈折した優にでも素直にぶつかってきます。
優と全く正反対の性格、育ち。
優も岩ちゃんの言葉にときどき反応しかかりますが、そのプライドのせいで素直に表現できません。
人と協調するということを知らずに育ってきたから、自分の心の変化に戸惑ってるんですよね。どうリアクションしていいか、優の辞書にはないんです。だから時間がかかるんです。
優はとても嫌な奴で、最後まで「もっと素直になりなさいよっ!」と言いつつ読んでましたが、そういう面を理解してやると、優の今後も応援したくなります。
オリンピックが終ったところですが、私たち観客もいい加減なものですね。
いい結果を出すとワイワイ歓喜して、だめだったら「何やってんだよ」とか好き勝手なことを言って。
選手たちは誰のために何のために闘ってるのでしょう。
「誰のために走るのか 痛い足を我慢して~」とか言う歌がありましたよね。
好きだからここまでやってこれたんですよね。
優が岩ちゃんに叫んだ言葉、「自分のために走りきれ」
これですよね。
1日24時間、陸上のためだけに全てを費やしている。
恵まれた家庭環境、父親の熱心なサポートもあり、大会では他の選手の背中を見て走ったことはない。
父が果たせなかった箱根駅伝に出場し、将来はオリンピックで金メダルを獲るという目標がある。
大学生になった優は陸上部に所属するが、自意識過剰で、自分以外には興味はない。
メンバーを軽蔑し、彼らと距離を置く優だったが、同じ1年の岩本だけはいつも優を尊敬し、親しく話し掛けていた。
そんなある日、兄が突然亡くなる。それを境に壊れてゆく家族。そして出生に関する疑惑が浮上する。
このまま走り続けるべきなのか。
箱根駅伝が近づく中、優はある決心をする…。
駅伝の清々しい話だと思ってました。
(どのレビューを読んでもたいていそうでしたね)
以前読んだ『サクリファイス』(近藤史恵)はロードレースの話でしたが、あれのようにレースの駆け引きだとか、選手の精神力、チームワーク、、、そんなことを中心にしているのかと思ってました。
ところが、これはただの青春駅伝物語ではありませんでした。
(ネタバレ的かもしれませんが…)
主人公の優は、とても屈折した子です。
たしかに、毎日毎日自己監理を怠ることなく、どんなときも練習を欠かさない努力の塊のトップランナーです。
でも、世界は自分のために回っている。周囲への思い遣りの欠片もない。
これは親の責任ですね。
いくら夢を託すといえども、子どもはロボットじゃないです。子育てというよりゲームですね。
驚いたことに本当にこんなことが出来てしまうなんて、ドーピングどころの騒ぎじゃないです。
それだったら、うちだって≪あのDNA≫が欲しい!!
な~んてことは冗談のレベルですよね、普通。
先天性難病の発症確率があるなら考えたりもするでしょうが…。
・・・と、意外な展開を見せていくのですが、
このことと、やはり「人は一人じゃ生きていけないんだよ」ってことを感じさせてくれるお話です。
岩ちゃんは、屈折した優にでも素直にぶつかってきます。
優と全く正反対の性格、育ち。
優も岩ちゃんの言葉にときどき反応しかかりますが、そのプライドのせいで素直に表現できません。
人と協調するということを知らずに育ってきたから、自分の心の変化に戸惑ってるんですよね。どうリアクションしていいか、優の辞書にはないんです。だから時間がかかるんです。
優はとても嫌な奴で、最後まで「もっと素直になりなさいよっ!」と言いつつ読んでましたが、そういう面を理解してやると、優の今後も応援したくなります。
オリンピックが終ったところですが、私たち観客もいい加減なものですね。
いい結果を出すとワイワイ歓喜して、だめだったら「何やってんだよ」とか好き勝手なことを言って。
選手たちは誰のために何のために闘ってるのでしょう。
「誰のために走るのか 痛い足を我慢して~」とか言う歌がありましたよね。
好きだからここまでやってこれたんですよね。
優が岩ちゃんに叫んだ言葉、「自分のために走りきれ」
これですよね。
by mam-san
| 2008-09-06 14:59
| 桂望実